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Tuesday, November 24, 2009

ミルク・ソープメーキングより

アン・L・ワトソンの「ミルク・ソープメーキング」に出ていた作り方の紹介をします。

普通、液体のミルクを使う場合は、水の代わりにミルクを使う、または水の一部をミルクに置き換えて使うというのが一般的でしょう。粉末のミルクの場合は、トレース時少量の石けん生地と合わせてから、生地に混ぜ込むというのが多いですよね。大きな疑問も持たずそんなもんだと思っていましたが、「ミルク・ソープメーキング」を読んで、石けん作りは100人いたら100通り、またはそれ以上の作り方があるんだなと感じました。そしてどの作り方が正解ではなく、状況や条件によって、どの作り方も正解になる。それが石けん作りのおもしろいところです。

アン・ワトソンの作り方は基本的にコールドプロセスですが、ミルクの形状により、「クール・テクニック"cool technique"」と「ウォーム・テクニック"warm technique"」と2種類の作り方があります。作り方を以下にざっと書き比べてみます:

クール・テクニック(液体ミルクを使う場合)
1 ミルク(液体)を量り、製氷皿に入れ凍らせておく。
2 油をはかり、鍋に入れる。固形油脂は電子レンジで溶かしてから、鍋に入れる。
3 ソースパン(鍋)に凍らせたミルクを入れ、上から計量した苛性ソーダをかける。柄の長いスプーンでかき混ぜながら、苛性ソーダとミルクを溶かしていく。
4 苛性ソーダが溶け、凍ったミルクも溶けたら、ざるなどで濾しながら、油に加える。撹拌。
5 オプションを加え、型に流す。
6 生地を型に入れたら、冷蔵庫で最低3時間以上冷やす。または冷凍庫で30分冷やしてから冷蔵庫に入れる。
7 翌日に型出し、カット、乾燥。

ウォーム・テクニック(粉末ミルクを使う場合)
1 油をはかり、鍋に入れる。固形油脂は電子レンジで溶かしてから、鍋に入れる。
2 ミルク(粉末)をはかり、ボウルや大きめの計量カップに入れる。1の油を適量加え、ブレンダーでだまがなくなるまで撹拌する。
3 2と残りの油をあわせ、スティックブレンダーでさらによく撹拌する。
4 水をはかり、ソースパン(鍋)に入れる。
5 苛性ソーダをはかり、4の水にゆっくり加える。柄の長いスプーンで混ぜ、よく溶かす。
6 大きなオーブン皿などに、苛性ソーダ水の入った鍋を乗せる。オーブン皿に冷水を注ぎ、苛性ソーダ水を冷やす。
7 苛性ソーダ水が46度くらいになったら、油に加え、撹拌する。
8 オプションを加え、型に流す。
9 生地を型に流し入れたら、常温で保温。
7 翌日に型出し、カット、乾燥。

ざっと作り方を書いてみるとこんな感じです。クール・テクニックの方は特におもしろいと思いませんか?
実際には、苛性ソーダの取り扱いや道具や材料について、温度についてなどなど、もっと細かく書かれています。上記はあくまでも大まかな手順なので、これだけ見て作らないようにしてください。

クール・テクニックは液体のミルクを水分の全体、または一部使う作り方ですが、ヨーグルト、クリーム、サワークリーム、生クリームなどを水とあわせた作り方もレシピで出ています。
ウォーム・テクニックは粉末のミルクを使う作り方ですが、粉末ミルクを他の液体オプション(はちみつやアロエジェル)とあわせたレシピや、ミルクを使わず油脂の一部にバターを使ったレシピも紹介されています。

ミルクソープというと、どうしても温度が上がりすぎたり、生地が分離しやすかったり、苛性ソーダとミルクをあわせたときに、臭いがしたり、白いモロモロが出たり・・。初心者には特に作りにくいイメージがあるでしょう。できあがりも「ミルク入れたのに白くない!これって失敗?!」と当惑した方もいるのではないでしょうか。
この本は、ミルクというオプションを敬遠しがちな初心者に、できるだけ安全で、サプライズの少ない作り方を紹介しようという目的で書かれています。ですから、石けん作りに慣れた人が読むと、なぜそんなことを?と思うこともあるでしょうが、著者の意図を考えれば納得できると思います。

トレースに関して著者は「初心者にとって、これほどわかりにくものはない」と、目安として使わないと言っています(詳しくは著者の1冊目の本に書かれている様なので、今度本を買って読んでみます)。
実は、私も最近は、トレースまで撹拌、ということに疑問を抱いていて、あんまり混ぜない作り方を試しているのですが、ミルク・ソープメーキングの中で、私の考えていることとピンと一致する表現があったので、次回はそれについて書きたいと思います。