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Friday, January 11, 2008

バラの花にご用心

定期購読している雑誌Audubonの1・2月号に"War of The Roses"という特集記事がありました。Audubonはアメリカの非営利環境団体The National Audubon Societyが発行している雑誌です。この特集記事によると、アメリカ人は毎年15億本ものバラを買うのだそうです。そのほとんどがコロンビアやエクアドルといったラテンアメリカからの輸入品。特にエクアドルのバラは、色の深みや花の大きさなどが素晴らしく、世界でもトップクラスのバラとして扱われています。エクアドルでは、花産業はオイル、バナナに次ぐ大きな経済の柱となっており、バレンタインと母の日を中心にそのほとんどをアメリカに輸出しているのだそうです。

しかし、そんなに美しいバラがエクアドルからアメリカまでわざわざやって来て、店先で並ばれ、家庭の花瓶に生けられ、それでもまだ何日もその美しさを保つのはちょっとおかしいと思いませんか?特集記事によると、エクアドルでは(コロンビアも)花農場で殺虫剤、除草剤、防カビ剤などが大量に使われていて、規制が甘いため、アメリカやヨーロッパではすでに禁止または規制されている危険な薬品なども使われているそうです。農薬は地面を通って川や海に流れ込み、水の生き物や植物を殺してしまうし、花農場で働く労働者たちは有害物質に晒されたことが原因と思われる様々な疾患に苦しんでいる、とありました。まるでレイチェル・カーソンの「沈黙の春」のようですね。でもこれは70年代ではなく、今まさに起きていること。かたやバレンタインや母の日に完璧な美しさを保つバラを買い求める米国の人達、かたや子供や家族を抱え、体を有毒物質に晒しながらも月160ドルほどの賃金のために働くラテンアメリカの労働者。なんか胸につかえるものがあります。記事を読んで、バラの花の味方が変わってしまいました。

幸い(と言えるのかどうか・・)、持続可能な方法で有機バラを栽培する農場も出てきたそうです。バラも食べ物のように、有機証明というのが始まったそうで、ゆくゆくは有機花がメインになって売れていくのではないかということです。花産業だって、環境や人に負担がない方がいいのは絶対なんだけど、仕切ってるのはアメリカ。花はアメリカ向けのものだし、当然のことと言えばそうなんですが、ちょっと腑に落ちないなあと思うのは私だけでしょうか〜。

日本ではどこのバラが売られているのでしょう。もしお花を買うのが好きな方はその花がどこからどうやって来たのか調べてみるといいと思います。身近に感じる花も、案外遠い国から来ているかもしれませんよ。