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Saturday, May 01, 2004

Topic of the Month 2004年5月

5月のトピック
~オイルについて思うこと2~

ええと、前回は去年の8月に
ココアバターとココナツオイルについて書いたところで
息切れしたんですよね。
今月はその続きということで・・。
材料に対する固定観念に疑問をなげかける
超私的なエッセイです。


グレープシードオイルは酸化しやすい、という固定観念
確かに酸化しやすいです、オイルは。でもグレープシードオイルを入れた石けんはどうでしょう?それはレシピ次第です。油が酸化しやすいことがわかっているなら、酸化しにくいレシピを作りましょう。オイルの分量やディスカウントもそうなのですが、大切なのはオプションです。オプション入り石けんって、オプション無し石けんより酸化が遅いと思いませんか?すべてのオプション材料がそうとは言いませんが、例えばクレイなどの粉ものとか、例えば精油やフレグランスオイルなどの香料を使うと、酸化しにくいような気がします。私が個人的にかなり違いが出ると思うのはインフューズオイルです。グレープシードオイルでは試したことないのですが、他のオイルでは違いを感じたので、たぶんいけるのではないかと。あと水以外の液体(コーヒー、ハーブティなど)を使っても酸化が遅くなるように思います。
上記のことはすべて温度管理や保管をきちっとした場合です。そしてあくまでも私の個人的感想です。
油脂類のオプション(スーパーファット、乳製品類)に関してはどうだかわからないです。

ラードが毛穴をふさぐ、という誤解
これは誤解かなあと思うのです。少なくとも私の知っている限りでは、そのような情報は読んだことがありません。たぶん牛脂と混乱しているのでしょう。ラードについては、コスメ材料の辞書「A Consumer's Dictionary of Cosmetic Ingredients 5th edition (Ruth Winter, M.S., Three Rivers Press.1999) 」に書かれているので、以下に訳をつけます。私の訳では信じられないという方は、ページ番号を付けておきますので、ご確認ください。
「ラード・皮膚に浸透しやすく、潤滑油やエモリアント剤として使われる他、シェービングクリーム、石けん、その他のさまざまな化粧クリームの基剤として使用されている。豚の腹部からとれる内脂肪を精製したもの。やわらかく、白く、なめらかな脂で、独特のにおいがわずかにあり、味はしない。知られている毒性はなし。」(p272)
ラードに関してはそういうことです。
ちなみに牛脂(&羊脂)で引いてみると、「湿疹やにきびを起こすことがある」とあります。 (p427)
*しかし「現在、化粧品製法で使われているのは安全である」と続いて書かれています。
ついでにオリーブオイルを引くと、「アレルギー反応を起こすことがある」と書かれています。(p321)
たぶん牛脂の記述を読むと「やっぱり毛穴をふせぐんだ!ちょっとこの脂は使いたくないな。」と思うのではないでしょうか。では「オリーブオイルもアレルギー出たら嫌だし、使いたくないなあ。」と思いますか?牛脂=いつでも毛穴をふさぐのではなく、そういうケースもあるということですよね。オリーブオイルもそうです。動物性だから危険度が高いということはないですよ。動物・植物にかかわらず、スキンケアの材料としてどちらも注意を持って使う必要があり、使ってみて肌に支障がなければ安全だ、ということです。

高いオイルほど効果がある、いいオイルをたくさん入れるほど効果がある、という固定観念
うまく言えないけど、私はそうは思わないです。信じる信じないの世界ですが。
手作り石けんってある意味「夢」ですよね。何を信じるか、何をたくすか。
私は汚れを洗うことができて、ちょっといい気分になれればいいかな、と思っています。
本などでも書いたのですが、肌は自分で潤うことができるし、肌は自分で元気になろうとするちからを持っていると信じています。それ以上のことを石けんがすると、肌が怠けてしまう気がするんです。まあ、怠け者の私に似て、私の肌も相当怠け者だからかもしれませんが。肌だけでなく、生き物は「いっぱいにはちょっと足りない」のが生理的に好きなんじゃないかなあって思うのです。ご飯だって腹八分目って言うしね。なんでも満たしすぎると駄目になってしまうような気がします。
もし使うとしたら、高価なオイルをレシピを配合するときに考えることは、最大限のちからを引き出す最小限の分量です。それがいちばんピシっと決まる気がするんですよね。多すぎると材料の欠点も出やすいので、なんというかピントがずれて、だらけてしまうような気がします。もちろん少なすぎると入れたかどうかわからないけれど(笑)
あくまでも私的な好みですけれどね。

オイルについて思うこと
手作り石けんにおいて、オイルはみな平等、各々いろんな可能性を持っています。配合の分量や合わせ方によって、欠点も補えるし個性も引き出せる。つまりは作り手次第ということ。使う前からこのオイルはよくないと決めつけてしまうのは、石けん作りの可能性を狭くしてしまうことになりませんか?試行錯誤しながら自分でじっくり付き合うからこそ、オイルのよさがじわじわとわかってきます。もちろんオイルには長所だけでなく欠点もあるけれど、だからこそ長く付き合っても、いろんな発見があるのです。この欠点を補うためにはどうレシピを作ったらいいかなと考えれば考えるほど、オイルのことを知っていきますよ。
私は動物派でも植物派でもありません。ラード派でもパーム派でもオリーブ派でもココ派でもなんでもないです。私にとってすべての材料はそれぞれが個性があるもの、というだけです。どれを否定するわけでも、どれを極端に推進するわけでもありません。
なんだかうまくまとめられないから、ここで終わりっ(笑)


後書き
ということで、オイルについて思うこと2でした。
私の思うことは私の思うこと。同意しなくても結構です。これがオイルについて考えるきっかけとなれば、それだけでうれしいです。