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Sunday, June 01, 2003

Topic of the Month 2003年6月

6月のトピック
~コールドプロセス VS ホットプロセス~あ~、いつのまにか6月になっていたー!!<言い訳


よくある質問の中に「コールドプロセスとホットプロセスの違いは?」というのがあります。答えは簡単なようで複雑。白黒はっきりしているようで、実はグレイな部分が多い。まるで石けん作りそのものみたいですねー。でもそれならそれでいいでしょう。とにかく比べてみましょうよっ。<やる気!
(1) ホットプロセスとは?
コールドプロセスと比べる前に、まずはホットプロセスとは具体的にどのような作り方をするのか、どのようなバリエーションがあるのかを書きたいと思います(あくまでも手作り石けんの場合です)。これも白黒はっきりしてない部分が多いのですが、私の知識の範囲内で書いてみます~。
作り方:
Step1.苛性ソーダを水に入れる。
Step2.油脂を配合し、溶かす。
Step3.苛性ソーダ水を油脂に入れる。
Step4.撹拌開始。
バリエーション1:撹拌して、生地がある程度混ざってから(またはトレースが出てから)、Step5に進む。
バリエーション2:撹拌とStep5を同時進行。
Step5.人工的に熱を加え、石けん生地の鹸化を進める。
バリエーション1:直火の弱火
バリエーション2:湯煎
バリエーション3:湯煎と見せかけて、実は蒸気が当たっているだけ。<うちの鍋
バリエーション4:クロックポット(別名slow cooker)なるものを使う<電気鍋です
バリエーション5:オーブンを使う。
バリエーション6:その他、火や電気を使い熱を加えるものならなんでも。
Step6.生地がぼてぼて&もさもさしてきたら型入れ。生地の状態はマッシュポテトのような感じ。

これは200年8月のトピックで作った液体石けんの生地。
固形石けんでもだいたいこんな感じです。でももうちょっとふわっとしてるかなぁ。
Step7.生地が固まったら型出し。乾燥。
バリエーション:型に入れずに、冷めてきた生地をこねこねして造形することもできます。
(2)コールドプロセスとの違いは?
違い1:苛性ソーダ水と溶かした油の温度調節
コールドプロセスではある程度の温度調節をした方が作りやすいと思います。温度が低すぎると、固形油脂が鹸化前に固まり出したり(偽トレース)、逆に温度が高すぎると生地が分離してしまいます。
ホットプロセスでは、温度調節はしなくてもオーケー。所詮すぐに熱を加えてしまうので、温度をはかる必要もないと思います。(もちろん熱すぎて扱いにくかったり、やけどを防ぐためにも、苛性ソーダ水はほんの5分でも冷ました方がいいと思います。)
違い2:撹拌と熱の役割
コールドプロセスでは、撹拌は主役。最初の10分なり20分なり、しっかり生地を混ぜることが鹸化を進めるきっかけとなります。そして、保温中に生地が分離しないくらいもったりさせること(→トレースを出すこと)も大切です。そこに熱があればなおさらよいのですが、撹拌の方がメインのように思います。極端なケースだと、撹拌をしっかりしていれば、熱が上がらなくてもそれなりに石けんになって固まってくれますよね。
それに対して、ホットプロセスでは鹸化を促進させるものは、熱です。撹拌はどちらかというと脇役。たまにぐるりと混ぜるくらいでも石けんになります。例えば、しっかりトレースを出しても、ホットプロセスで急激に熱が加わると、生地がまた分離してしまったりしますよね(ちなみに、ゆっくりと低めの温度で温め続けるとホットプロセスでも分離はしません。)どちらにしても、石けん生地にある水分はかなり蒸発するので、もったりとした生地ができあがります。
違い3:できあがった石けんの違いは?
見ためは違います。コールドプロセス石けんは表面がなめらかです。ホットプロセスは面が粗いというか・・。豆腐に例えると、コールドプロセスは絹ごし、ホットプロセスは木綿です。使用感は、十分に乾燥させたものなら、これと言って違わないような気がしますー。<私だけかも?!
(3)コールドとホットの微妙なライン
先ほど、電気や火で人工的に熱を加えると書きましたが、それをコールドプロセスに応用したらどうでしょう?それはホットプロセスになるのでしょうか?例えば、撹拌中に冷えてしまった生地を直火で温めたら?保温中にこたつや電気カーペットで温めたら?
答えはノーです。確かに外から熱を加えていますが、それはホットプロセスとは呼びません。ホットプロセスの場合は、石けん生地に外から熱を加えることによって、鹸化を進めますが、それと同時にマッシュポテト状になるまで水分の蒸発もさせます。コールドプロセスの場合、乾燥させるのはあくまでも型出し後のみですよね。


後書き
さて、どうでしたか?わりとさくっと比べてしまいました。物足りなかったらごめんなさい。
調べ物もせず、自分の思うように書いてしまいました。ほとんど主観です。大丈夫かな・・。
勝手な解釈&偏見に満ちているかもしれないけれど、参考になったならうれしいです。
石けん作りってつまりは「鹸化」なんですよね。それをどうやってするか。それだけなんです。
油脂、アルカリ、水、熱、撹拌、そして反応。シンプルな材料のシンプルなプロセス。
全てが全てにつながっていて、そのどれかが微妙に変わると他も全て変わる。
だから限りなく深くて、限りなく複雑なんですね。
ミクロマンになって、その世界をのぞけたらいいのにー。(メルモちゃんでもいいぞっ)