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Friday, June 01, 2001

Topic of the Month 2001年6月

6月のトピック
○○石けんってどうやって作るの?!

はじめに・・・
掲示板を見てると何度となく出現するお題というのがあります。それだけ戸惑う人が多くて、それだけ興味を持つ人が多いのでしょう(と勝手に思っている)。今月はそういうお題について考えてみました。これをそれなりに有益な情報と思う人も入れば、何を今さら、もう知ってるよ~、と思う人もいるでしょう。今月のトピックは前者の方々に捧げます。


ミルク入り石けん
ミルクを入れるとすごい臭いがする、急に分離しカッテージチーズみたいなのが出てくる、温度が異常に上がる、ミルクの乳白色をイメージしてたのに茶色になった・・・。ミルク石けんにはこんな恐ろしいウワサが流れています。しかもどれも本当です(笑)だけどミルク石けんって言ってもいろいろあるんです。種類や作り方によってはおそろしい臭いや分離を防ぐこともできます。ここではそういった種類や作り方を見ていきます。
ミルクの種類:牛、山羊、その他
牛から取れるのは牛乳。しかしその中でもいろんな種類があります。牛乳を買うと「3.5%」のように脂肪分の表示があります。脂肪分が多い方がしっとり度も高いと思いますが、実際石けんに入れたとき1、2%の差で感じ取れるほど違いが出るのかはナゾです。また牛乳には脱脂乳もあります。これは脂肪分が抜かれているので、普通のよりはしっとり感が落ちます。でもスキムミルクは使えない、という訳ではありません。オイリー肌の人にはスキムミルクを使った冬用石けんやクリームなどのレシピも見たことありますよ。
山羊から取れるのは山羊乳/ゴートミルク。手作り石けんのイメージだとどうも牛より山羊のミルクの方がいいような印象がありますが、実際は大差ないです。例えば1カップ中の脂肪分を比べると、3.5%脂肪分の牛乳は8.2g、山羊乳は10g。山羊乳が若干脂肪分が多い程度です。参考までに1カップのスキムミルクの脂肪分は0.4g、2%脂肪分の牛乳は4.7g、羊の乳は17.2g、コンデンスミルクは26.6g、豆乳4.6g。(データはアメリカのものを使用。参考文献は終りにあります)。つまり広いスキームで見たら、牛乳も山羊乳の内容的にあまり変わらないようです。参考までにたんぱく質やビタミンA,B群も牛乳と山羊乳は同じような内容量です。
液体?パウダー?
牛にしろ山羊にしろ液体とパウダーの大きな違いは水分の有無です。液体では95%以上が水分。それに対してパウダーはその水分を抜き取ってしまったものです。つまり同じ大さじ1を加えるなら、液体とパウダーでは全然脂肪分が違うことになりますね。何をどうやって混ぜ混むのかによって、作る過程やでき上がりが違います。ここでは液体やパウダーを石けん生地に混ぜ込む方法を数種類紹介します。
(1)ミルクパウダーをトレースで入れる。一般的なのは500gで小さじ2、3でしょうか?もちろん好みで加減できます。ミルクパウダーを少量の石けん生地で溶いてから、石けん生地にあわせます。これなら恐ろしい臭いもないし、しっとりした石けんが出来ます。色もそれほど茶色にならないような気がするけど・・・。使用感は個人的な感想を言うと「脂肪が残ってるなー!」って感じです。液体を使うより洗い上がりヘビー。冬向けとか乾燥肌&髪にはいいと思います。ミルクパウダーってベビー用粉ミルクでいいの?コーヒーに入れるパウダーはどう?とあれこれ迷うでしょうが、疑問に思ったら入れてみるのが一番!とりあえず脂肪分が入ってるならしっとりはするでしょう。糖分が入っているならしっとりして泡立ちがよくなるでしょう。ビタミン類が入っているなら破壊されるでしょう(笑)
(2)水の代わりに液体ミルクを使う。例えば500gバッチで水170gの代わりにミルク170gを代用し、ミルクに苛性ソーダを加える。これは何にも知らないでするとビックリしますよー!水の代わりにミルクと苛性ソーダをあわせる、ってことはミルクの中にある脂肪分、たんぱく質、ビタミン類などなどが苛性ソーダと反応します。熱もぐいぐい上がります。カッテージチーズみたいなモロモロがたくさん出てきて、液体は明るいオレンジからダークな茶色へとみるみるうちに変化します。きついアンモニア臭がします。これらを気にせず、何事もなかったのように平静なまま石けん作りを続けられるのならそれもよし。一月後には石けんになってます。でも上記の中のひとつでも「怖い!」と思うなら、ミルクをあらかじめシャリシャリに凍らせておいてゆっくり苛性ソーダと混ぜるようにしてみてください。それでもカッテージチーズ現象や温度上昇、アンモニア臭は避けられないと思いますが、ちょっとはマシです。それからガラスの容器を使ってる人は要注意!焦ってあつーい苛性ソーダ&ミルク溶液を氷水で冷やしたりしないように。割れる危険性がありますよ。でき上がりは温度にもよりますが、結構ダークな色になりやすいです。
(3)水の一部を液体ミルクに置き換える。例えば500gバッチで水分170gのうちの70gをミルクにする。残りの100gの水で苛性ソーダを溶かし、油と合わせたらちょっとぐるぐるする。5分くらいしたらミルクを入れる。これなら、ミルクは苛性ソーダと直接対決しませんが、ミルクの水分は撹拌に利用されます(と私は思っている)。できあがりは飴色っぽいです。上記のふたつに比べてちょっと脂肪分が少なめになりますが、仕上がりはいい具合にしっとりした石けんです。
(4)トレースで液体ミルクを加える。やっともったりしてきたところに、液体をたくさん入れるとさらさらしてトレースがなくなっちゃいますから、水分少なめ・脂肪分多めの液体を試してみてはいかがでしょう。例えばエバミルクやコンデンスミルク、またミルクパウダーを少量の水で溶かしたもの。これならトレース時に劇的に水分を増やすことなく、他の方法と変わらないしっとり感を得られると思います。
ま、いろいろお試しあれ。ミルク石けんだけ専門に作ってるソーパーもたくさんいるくらいですから、奥が深いし、試行錯誤する価値があると思いますよー。
卵石けん
卵を入れたら入り卵になった。
でもそれで気が付いたよ。石けんは石けん。卵は卵。卵は石けんには入れるけど、卵は石けんにはなれない。<当り前?!
でもダマダマせずに上手に混ぜ込みたい!そう思ったら温度を低くする!これにつきます。卵は卵黄を使います。混ぜ込むタイミングは2ヵ所:油の中、またはトレース時です。人によって好みは分かれますが、個人的にはトレースで温度管理するより油を暖める段階で温度管理した方が楽だと思うので、油に卵黄入れる方が簡単でしょう。低温、というのも人によりますが、私はココナツオイルを使うので、だいたいそれが溶ける摂氏25度くらいまでにしておきます。でも日本の寒い冬だったら、最初は熱めにしてぐるぐるして、生地が冷えてきたトレース時に卵黄入れてもいいんじゃないかな~と思います。
これもいろいろお試しあれ。そして結果を是非教えてください。
きちっと卵黄を混ぜ込んでジェル化すると石けんは24時間後に緑になってたりしますー。一日くらいで色は変化しますが、始めて作ったときはびっくりして捨ててしまった。今思えば、大成功だったのにー!
これ失敗? 答えは一月 寝かせて待てっ 
赤ちゃん用の石けん
ベビーソープはこれと言った決まりはありません。一般的にはアボカドオイル、オリーブオイル、シアバター/マンゴバター、スイートアーモンドオイルなどがよく使われます。またベースオイルにカモミールやカレンデュラを漬け込んだものが使われることもあります。以上のオイルしか使っちゃいけない、ってことではありません。自分にとって一番大切な者を優しくきれいにしてあげたい、と思ったら何を使いますか?そこからスタートしたらきっといいものができると思います。ここでは一般的にベビー石けんを作るときに言われていることをまとめてみます。
(1)まずはアレルギーの可能性を考えましょう。ピーナツオイルやみつろう、ココアバターなどなど、大人でも苦手な人はいますよね。
(2)刺激は無い方がいいのです。洗浄力のあるココナツオイル/パーム核オイルは少なめに。たくさん入れるとカサカサしちゃいます。(もちろん全く入れなくてもいいと思う)また石けんは1月より数ヵ月寝かせた方がマイルド感が増すようです。香料やその他のオプション材料は入れない方が無難。はちみつなど、大人にはよくても赤ちゃんにはよくないものがあります。どーしてもオプションを入れるなら、赤ちゃんが使えないものを調べ正しい知識を得てからにしましょう。
(3)赤ちゃんには石けん以外の肌に優しい洗浄もあります。石けんでは強すぎると思ったら、ミルクやアーモンドパウダーを入れた乳白色のぬるま湯だけで洗う方法などもあります。これはいいよー。自分でしちゃう。
液体石けん
去年の7月と8月のトピックで液体石けんにチャレンジしました。何時間も湯煎でぐつぐつして、生地に透明感が出るまで待ちました。しかし、ガス&電気代が大きく値上げした今、そんなに湯煎はしてられない!!!そこで「どうせ熱を加えるなら最初からガンガン火をあてちゃおうっ」と思い付いたのがレイジーリキッド。温度管理もトレースも全く無視して作ってみたら、意外や意外、フツーに出来たよ。なんと15分~20分くらいで出来上がってしまいました。
レシピ(去年と全く同じ)
ココナツオイル 500g
水 480g
苛性カリ 133g
レイジーリキッド作り方
(0)まずはアルカリの取り扱い注意を復習してください。
(1)水に480gに苛性カリ133gを加えて溶かします。
(2)鍋にココナツオイルを入れて、弱火にします。
(3)鍋のオイルに苛性カリ溶液を加えます。温度をチェックせず、鍋にココナツ入れ溶けたらすぐにアルカリを混ぜてしまって結構です。アルカリは熱いから気を付けて。
(4)弱火でココナツオイルと苛性カリ溶液を暖めながら、泡立て器でずっとかき混ぜ続けます。
(5)疲れたなぁーと思ったころになると、泡が出てきます。そうしてみるみるうちに泡は膨れ上り、鍋からこぼれそうになります!!ここまで来たらすぐに火からおろしてください。(鍋は深いのを使うのがおすすめ。泡はかなり膨れますよ。)
*なかなか泡立たないなら、ちょっと火を強めてみてください。こがさないように撹拌も続けてくださいね。
(6)火からおろしたら余熱を利用して撹拌を続けると、水分が飛び生地がもったりマッシュポテトみたいになってきます。そうなったらできあがり。この時点では生地は透明感がありません。でも1週間くらいおいて置くと透明感のある生地になっています。これも1、2か月寝かせたらマイルドになるんでしょう、きっと。
(7)希釈。生地と同量くらいの熱湯を用意します。ソープジェルを作るみたいに、耐熱容器に生地を入れ熱湯をそそぎフタか何かをして一晩置いておきます。このときに、はちみつなどの糖分やグリセリンを加えると溶けやすくなるようです(&しっとりします♪)。放置したら翌日溶けてるでしょう。私は数時間で溶けました。溶け残りがあったら次回の分として取り除きましょう~。
どうでしょう?リキッドは湯煎が・・・と躊躇していた方もこれならできそうかな?でもいきなり膨れる泡にはくれぐれも気を付けてくださいね。パニックしないで冷静に。
え?ほう酸??クエン酸???
・・・面倒だから入れなかった。じっくり一月寝かせたし。ゴリゴリもないし・・・(笑)
ココらしく泡立ちも泡切れもよく、使った感じはいい感じでした。
怠け者だからカンタンにね。
バスフィズ
この一月、こっそりバスフィズばかり作っていました。うーん、楽しい~。
石けんじゃないけど、オマケで。
バスフィズの魅力はなんと入ってもシュワシュワ発泡すること。しかし一番の楽しみであるシュワシュワが失敗の原因になってしまうことも確か。私はバスフィズを作り始めて半年くらいは溶岩みたいなのしかできず、また自分の溶岩フィズ以外にフィズというものをまだ見たことがなかったので、溶岩がフィズだと信じていました。それも悪くなっかったけどね、うん(笑)
バスフィズはパウダー類と液体類を混ぜて固めたものですが、発泡するのはベーキングソーダ&クエン酸と水分です。つまりコーンスターチ、アルコール(フレグランスオイル含む)や油分(精油含む)は発泡には関係ありません。当り前のことだけど、これを理解していると結構レシピの応用が効くのです。フィズに使われるいろいろな液体分には特徴があり、よい点と困った点があります:
液体:
水、ハイドロソル、ハーブティなど
よい点:お手軽に湿らせることができる
困った点:クエン酸が待ってました!と発泡する。オイル類などと一緒に混ぜ込んだ方が扱いやすい。
ウォッカ、ウィッチヘーゼルなどのアルコール類
よい点:クエン酸と一緒にしても発泡しにくい。
しかしアルコール類は水分も含んでいます。一度アルコールの抜けたウォッカを使ったら、水を使っているようにシュワシュワしました。水分を蒸発させるので早く乾燥させたい時に便利。
困った点:乾燥した季節はメインで使うとフィズが乾燥しすぎで割れてしまうおそれあり。
グリセリン
よい点:クエン酸とあわせても発泡しにくい。保湿感があるが、浴槽を油っぽくしない。
困った点:乾燥や湿気に敏感。大気の湿度が低すぎるとひび割れのおそれが、また湿度が高いと水分を集めフィズがふくれてしまうおそれあり。つまりグリセリン自体ではクエン酸は発泡しないが、発泡の原因となる水分を集めやすい。
ソフトオイル
よい点:乾燥中に発砲しない。きちっとフィズが固まる。
困った点:湯の中で油の層が浮く。これがしっとりのもとなので厳密には困った点ではありませんが、夏場の風呂には苦手な人もいるし、浴槽の掃除が大変だったり残り湯を洗濯に使うのにためらう人がいる。細かいことだけど、確かに気になる。しかしソフトオイルと言ってもリッチなアボカドオイルからライトなアプリコットカーネルやグレープシードオイルまで様々あります。冬は アボカド、夏はグレープシードオイル、のように変化をつけてみるのもよいと思います。
ココアバター、シアバターなど固形油脂類
よい点:お風呂でバッチリ保湿できる。岩のように固いフィズができる。
困った点:粋が悪い。固すぎてお風呂でシュワシュワしなかったよー(涙)それから油脂類なので油が湯に浮き、上記と同じような問題があります。
フィズを作るときは好みや条件に合わせて、上記のアイテム単一で使うより2種類くらい合わせて混ぜてみるのが一般的です。私の最近のお気に入りは、グレープシードオイル&ローズウォーター、ウォッカ&グリセリンです。そして今度はココナツオイル&ウォッカで試してみようと思ってます。
パウダー類・その他:
パウダー類はお決まりのコーンスターチ、ベーキングソーダ、クエン酸の他に、ハーブやクレイ各種、カララント類、ココア、ほうれん草パウダー、海草などなどで色付けできます。手でまるめたり、モチーフ型やプリンの型などを使ったり、バラの花びらを入れて固めてみたりと、あれこれ楽しんでいます。香りに凝るのもいいし、米ぬかやオートミールを入れるのもなんだか良さそう。
こわれないようにするコツはぎゅーっと固く押し固めるすることです。また型を使うならシンプルな形のものを。そして乾燥中は触らない!乾燥しきらないうちに触るとくだけたりくずれたりします。また乾燥中のシュワシュワを防ぐためには、乾燥しやすい場所を選ぶのもひとつの案です。私は試したことはありませんが、冷蔵庫で水気を失った食品を発見すると「ここの中でフィズを乾燥させたらいいかも・・・」などと思ってしまいます。香りが混ざるのだけちょっと不安ですけどね。あとはオーブンで乾燥させてるという話しをどこかで聞いたことがあります。これはどうなんだろう???
やっぱりフィズは楽しいなー。これもいろいろお試しあれ。そして作った感想や使った感じを是非教えてください。

最後に・・・
まずは参考文献から
Nutrition Almanac Forth Edition. Gayla J. Kirschmann and John D. Kirschmann. McGraw Hill. 1996
それから、赤ちゃん&はちみつ情報ははんなさんから皆さんへのお願いです。はんなさん、アドバイスありがとー。
トピックネタを調べたり、タイプしたりするのは楽しいので、読んでくださる皆さんにもそれが伝わればいいな~と思ってます。ひとつわかると、また新たに知りたくなるのが石けん作りのおもしろいところですね。