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Thursday, February 01, 2001

Know-How レシピの組み立て方

オリジナルレシピの組み立て方

 

・けん化価表

各オイルによって、けん化するために必要なアルカリの量は異なります。アルカリが反応し、肌に使える優しい石鹸にするためにも、オリジナルレシピを作成するときには各オイルのけん化価を調べ、苛性ソーダまたは苛性カリの量を正確に計算することが大切です。各オイルのけん化価表を参考に、レシピを組み立てる計算してみましょう。(固形石けんは苛性ソーダ、液体石けんは苛性カリのけん化価を使ってください。)


オイル名
日本語名
苛性ソーダ
(NaOH)
苛性カリ
(KOH)
apricot kernel
アプリコット核油
0.135
0.189
avocado
アボカド油
0.133
0.1862
bear fat
熊油
0.139
0.1946
beeswax
みつろう
0.069
0.0966
butter (cow)
バター(牛)
0.1619
0.2266
camilia
椿油
0.136
0.1904
canola
キャノーラ油
0.124(注)
0.1736
caster
ヒマシ油
0.1286
0.18
cocoa butter
ココアバター
0.137
0.1918
coconut
ココナツ油
0.19
0.266
coconut, virgin
ヴァージン
ココナツ油
0.1946
0.273
corn
コーン油
0.136
0.1904
cotton seed
綿実油
0.1386
0.194
evening primrose
月見草油
0.136
0.1904
flaxseed
あまの実油
0.1357
0.1899
grapeseed
グレープシード油
0.1265
0.1771
hazelnut
ヘーゼルナッツ油
0.1356
0.1898
hemp seed
ヘンプシード油
0.1345
0.1883
horse fat
馬油
0.14
0.196
jojoba
ホホバ油
0.069
0.0966
kukuinut
ククイナッツ油
0.135
0.189
lanolin
ラノリン
0.0741
0.1037
lard
ラード
0.138
0.1932


オイル名
日本語名
苛性ソーダ
(NaOH)
苛性カリ
(KOH)
macadamia
nut
マカデミア
ナッツ油
0.139
0.1946
mango butter
マンゴバター
0.128
0.1792
mink
ミンク油
0. 0.14
0.196
neem
ニーム油
0.1387
0.1941
olive
オリーブ油
0.134
0.1876
palm
kernel
パーム核油
0.156
0.2184
palm
パーム油
0.141
0.1974
palm
stearic
パーム
ステアリン酸
0.141
0.1974
peanut
ピーナツ油
0.136
0.1904
pumpkin
seed
かぼちゃの
種油
0.1331
0.1863
rice bran
米ぬか油
0.128
0.1792
safflower
紅花油
0.136
0.1904
sesame
ごま油
0.133
0.1862
shea
butter
シアバター
0.128
0.1792
soybean
大豆油
0.135
0.189
sunflower
ひまわり油
0.134
0.1876
sweet
almond
スイート
アーモンド油
0.136
0.1904
tallow
(beef)
牛脂
0.1405
0.1967
walnut
くるみ油
0.1353
0.1894
wheatgerm
小麦胚芽油
0.131
0.1834

 ここに記載されたけん化価は参考文献にあるRainbow Meadow Catalogueを参考にさせて頂いています。
(注)日本で発売されているキャノーラ油のけん化価は0.133くらいで計算するとよい、というご指摘を受けました。
 

・レシピ作成&けん化価の計算の仕方

(1)まずは次のことを決めましょう。
i) どれくらいの量を作るか(バッチサイズ=オイルの総量)
一回のレシピでどれくらいの量を作るか、その量のことをバッチサイズと言います。これは、作るときのオイルの量を基準に考えるので、例えば500gのオイルを使うなら「500gバッチ」と言います。
*パッチではなく「バッチ(batch)」です。
ii) どのオイルを使うか
何を使うか決められない場合は、各オイルの特性(リンクページ現在工事中)を参考にしてください。
iii) 各オイルをどれくらい使うか
同じオイルでも配合比を変えるだけで、石けんのできあがりがかなり違います。ここでは以下の様なレシピを作成してみましょう。
バッチサイズ
500g
使うオイル&分量
オリーブオイル 200g
 
ココナツオイル 150g
 
パームオイル 120g
 
ココアバター 30g
 
(2)けん化価表をもとに各オイルの苛性ソーダの量を計算します。(液体石けんの場合は苛性カリ)
レシピに必要な苛性ソーダの量は各オイルのけん化価X重さの合計です。上のレシピの苛性ソーダの量を計算してみましょう。

オリーブオイル
0.134 X 200 = 26.8
ココナツオイル
0.19 X 150 = 28.5
パームオイル
0.141 X 120 = 16.92
ココアバター
0.137 X 30 = 4.11
 
26.8 + 28.5 + 6.92 + 4.11 = 76.33
このレシピのオイルが100%けん化するのに必要な苛性ソーダの量は76.33gとなります。
(3)スーパーファットするため苛性ソーダの鹸化率を下げる(苛性カリはスーパーファットしない)。
スーパーファットとは苛性ソーダの量を減らし、けん化率を100%未満にすることで、石けんの中に過剰な油脂分を作ることです。この目的は、石けんの中に未反応の苛性ソーダが残らないようにすることと保湿効果を高めことです。レシピを作成するときには85%~95%のけん化率で計算してみてください。上のレシピを使い、90%のけん化率になるよう計算してみましょう。
 
76.33 X 0.9 = 68.697

小数点2以下を四捨五入すると、このレシピに使う苛性ソーダの量は68.7gとなりました。 けん化率100%を90%にしたので、苛性ソーダの量を10%減らしたことになります。これを「10%ディスカウント」したレシピと呼びます。苛性ソーダのディスカウントが多いほど使用感はしっとりしますが、過剰油脂が多ければそれだけ酸化もすすみやすく、石けんの寿命も短くなります。
(4)オイルと苛性ソーダの量が決まったら水の分量を決めます。
水はバッチサイズに対して30~40%が理想です。これはミルクやハーブティなど水以外の液体でも同じです。ここでは間を取って35%で計算してみましょう。500gの35%で175gの水を使います。
(5)オプション材料を決めます。香りや色、スキンケア効果を考えて好きなものを入れてください。もちろんオプション材料はなくてもかまいません。 今回のレシピにはココアとオレンジのエッセンシャルオイルを加えてみます。ココアは色付けに小さじ1くらい入れてみます。オレンジのエッセンシャルオイルは香りが残りにくいので小さじ4入れてみます。
(6)レシピを書きだし名前を付けます。これでオリジナルレシピの完成です。 
オレンジココア石けん(500gバッチ)
175g
苛性ソーダ
68.7g (10%ディスカウント)
オリーブオイル
200g
ココナツオイル
150g
パームオイル
120g
ココアバター
30g
ココア
小さじ1
オレンジ・エッセンシャルオイル
小さじ4


「肌に髪に優しい石けん」(祥伝社)でもオリジナルレシピの組み立て方を紹介しています。