Search This Blog(ブログ内検索)

Wednesday, January 10, 2001

Ingredients 効能について(石けんにできること・できないこと)

石けんにできること・できないこと

石けんには不思議な魅力があって、肌のトラブルをなんでも解決してくれるように思いがちです。とくに石けんを作っている立場からすれば、作っている物に想いを託すのも自然なこと。手作り石けんを使い始めて肌のトラブルが直った!という言葉をよく聞くし、事実、私もそのひとりです。でも本当に石けんは私たちの願いを何でも叶えてくれるのでしょうか?ここでは石けんにできること、できないことを考えてみました。材料を選ぶときやレシピを作るときの参考になればと思います。
手作り石けんで一番期待してしまうのが材料の持つ「効能」。保湿効果、スクラブ効果、毛穴の汚れの除去、肌のひきしめ、美白、シワ取り、シミ取り、ニキビ解消、アトピー改善、育毛、などなど石けんでこういうのが作れたらなーと思うことはたくさんあります。でも石けんに効能のある材料を加えると、どれくらい効果が出るものなんでしょう?それより前に、効果って本当に出るものなのでしょうか?
私は材料を加えることで、何かしらの作用は出ると思っています。ただそれが望んでいる効能かと言われるとわかりません。例えば、美白やシワに効くと言われている材料を入れたら、とりあえず入れた成分は石けんには残るでしょう。その成分が入った石けんを使うことで、肌が何かを感じることはあると思います。しかしアルカリと反応した成分はどれくらい有効なのでしょうか。それに加え、体の中の老廃物を出し、体の外にある異質物から体を守るという肌のはたらきを考えると、肌に触れたものを短時間で易々と吸収するだろうか、また肌がよい成分だけを取り入れ、汚れと泡だけを洗い流すだろうか、などの疑問もあります。効果のある(と言われている)材料を使うことと、使って効果があるということは、必ずしも一致しないような気がします。
もちろんプラシーボ効果というのもあるでしょう。これが効く!と信じて使えば効くものです。プラシーボも立派な効果。心理的作用で体に効果が出るならば、それはいいことです。
ただ、石けんの本来の役割は洗うこと。保湿剤でもなければ薬でもありません。肌の汚れを洗い落とすものを、肌に何かつけるもの、として扱うと矛盾が生じてしまいます。肌に有効成分をつけるのであれば、石けんよりクリームなどの方が効果的だと思いませんか?
では手作り石けんは洗う目的だけで作るべきか?というとそうでもないと思います。石けんの色やデザインでバスルームを演出することもできるし、石けんに香りで心に作用することができると思います。これは精油のアロマセラピーの効果だけに限るわけではありません。合成の香料だって好きな香りをかげば幸せ気分になるし、香りが特定の記憶を呼び起こしたりします。香りというのは思っている以上にいろんな効果を心や体にもたらせると思います。
また洗うという範囲で考えてみても、石けんはできることがたくさんあります。例えば、過剰油脂を含む手作り石けんは皮脂を取りすぎずしっとりと肌を保ちます。またスクラブなどを加えれば、さっぱりとした使用感の石けんになります。手作り石けんでは材料が選べるので、自分の肌質に合わせた石けんを作ることができます。清潔になった肌は、適度な水分や油分を保つ、老廃物を外に出す、など正常なはたらきをしようとするでしょう。肌が自分のちからで健康になれるように、負担をかけずに汚れを落とすこと。実はこれが石けんのできる最も優れた効能なのではないかと思います。