~ワックスとは何ぞや?~
ミニシリーズのミニとは「今回のトピは短いよ」、シリーズとは「また短い時もあるよ」ってことなんですがね。
<1> 油脂とワックス(ロウ)のおおざっぱな違い
油脂というのは脂肪酸とグリセリンから成っているそうです。脂肪酸3つとグリセリン1つがくっついてトリグリセリドっていうファンシーな名前を与えられるんだそうです~。石鹸を作るときは、この脂肪酸の部分が苛性ソーダと反応して石鹸になり、グリセリンは化学反応の副産物として石鹸に残りますよね。油脂はオリーブオイルを代表とする液体のものから、パームオイルやココナツオイル、ココアバターなど常温で固体のものまで様々な種類がありますが、上の点において液体・固体で差があるって訳じゃなさそうです。(それに常温って言ってもハワイの常温とアラスカの常温では訳が違うし、そこらへんは科学的な分類ではないんでしょうね。)
一方、ワックスの方は脂肪酸とアルコールから成っているそうです。これを知った私は「でもグリセリンだってアルコールの仲間じゃないのぉ!?」と中途半端な知識で疑問を持ちました。しかしここで言うアルコールとグリセリンとはちと種類が違うんだそうです。ま、詳しいことは置いておくね(わかんないからさぁー)。とにかく、グリセリンではなくなにがしアルコールっていうのがくっついてるのがワックスの特徴みたいですね。ワックスの仲間は動物性ならミツロウやラノリン、植物性ならホホバやキャンデリアワックスがあります。もしかして、ラノリンやホホバがワックスだっていうのは初耳だった人もいるかナー?へへ、そうなんですよぅ~。
ここでふと思う。Catherin Failorのリキッドソープ本内にあるリキッドレシピでやたらにホホバやラノリンばかり使われていたのは、やはり最後までアルコールにこだわっていた為だったのかっ!?今にしてナットク!おそるべしこだわり派!
<2> 疑問がわいた
手作り石鹸の良い点のひとつは天然グリセリンが入っていること、と思ってました。しかし、ワックスにグリセリンが無いなら、ワックスで石鹸作ってもグリセリンは生まれない!ってことはワックスオンリーで石鹸を作ったら、ノーグリセリン・ソープ!?
<3> さらに疑問がわいた
グリセリンって言えば、空気中の水分を集めてお肌をしっとりさせる効果があるけれど、空気がとても乾燥していると逆に肌の水分を奪ってしまうらしい・・・(とマイ掲示板で読んだよ)。ってことは乾燥時はノーグリセリン・ソープの方がしっとりするってこと!?
*(注)手作り石鹸は過剰油脂があるのでグリセリンにかかわらずしっとり感は出せるんですけどね。
<4> 試してみよう
ノーグリセリン・ソープ、その名も「ワックスブラザーズ」!!
水 180g
苛性ソーダ 34g
ホホバオイル 470g
ミツロウ 30g
ラノリン 小さじ2
鹸化率は限りなく100%に近くして、過剰油脂はラノリンのみ。
トレースでラノリンをスーパーファットします。
さてさて、この石鹸はどんな感じなんでしょ?グリセリン無しってどんな感じなのかナー。
ワックスブラザーズを試したい人は最後まで読んでね。
<5> (参考)すでに試した人もいる
にうにうさんの驚くべき「みつろう100%石鹸」!これも立派なノーグリセリン・ソープ!
●レシピ みつろう(精製度の低い、削ったもの) 100グラム 精製水 35グラム 苛性ソーダ 6~7グラムの間 正確な秤がないのですが、みつろうが残ってもスーパーファットとしては役に立たないような 気がして、なるべくけん化率をあげて作ろうと思いました。 (なお、苛性ソーダの量はまっきぃさんのホームページを利用させていただきました) オプション はちみつ小さじ半分 ●ホットプロセスで作りました。みつろうは少し温度が下がるとどんどん固まってしまうので、 みつろうは60度くらいで、苛性ソーダもかなり高温の状態で入れました。(70度くらい) 苛性ソーダ液を入れるそばから、どんどん固まっていき、混ぜてすぐ泡立て器では混ぜられないくらい 固くなりました。湯せんにかけて10分ほど混ぜ、溶ける気配もないのでそのままふたをして、 ときどきかき混ぜて様子をみることに。 混ぜてすぐは白っぽい「柔らかいクッキーの種状」だったのが、2時間湯せんにかけたところ、 だんだんとはちみつ色の透明感のある(かなり気泡が入った)とろっとした感じに。 (やりながら失敗なのでは。。。とかなり怖かったです) 型に入れてすぐ、固まりだし、冷める頃にはもう型だしできるほど固くなっていました。 色は濃いはちみつ色(もとのみつろうとほぼ同じ色)で、気泡のせいか、 それともオイルのせいかわかりませんが、かなりざらざらの肌の石鹸です。 匂いは、みつろうの匂い(^^;ハ 。他のオイルで作った石鹸に比べると、 油の匂いがしないように思います。 ●固さ むちゃくちゃ固いです。以前ラード100パーセントも作りましたが、その比ではありません。 でも、固さの割りに軽いような気がします。固まった後、なぜか中央の部分がへこんでしまいました。 ●溶けやすさ 水気のあるところにほっておいても、ぜんぜん溶けません。水につけておいても大丈夫ではないかと 思えるほどです。 ●泡立ち こんなに泡立たない石鹸はないんじゃないでしょうか。 お湯で手にとって、かなり一生懸命やって、やっとちょっと泡がたつ程度です。 ボディタオルでは、まったく泡立ちませんでした。知らない人が使ったら、石鹸だと気づかないかも。 ●保湿と洗浄力 手、顔、体を洗ってみました。 油で汚れた手を洗うのにはいいように思いました。かなりさっぱりします。 お風呂で、顔と体を洗ってみましたが、なにしろ泡立たないので、お湯で濡らした石鹸を 直接こすりつけるようにして洗いました。洗い上がりは。。。ラード石鹸に似ているように思いました。 つるつる感があるのははちみつのせいかも知れません。 かなり洗浄力があるのでは、と思いました。 肌にきつい感じではないですが、あまりしっとりした感じではないです。 毎日これで洗っていたら、乾燥するかも。。。 コストや、仕上がりを考えると、また作りたい、という石鹸ではなかったですが、 思ったより使える石鹸になりました。手に油分が残らないので、 やはりキッチンソープとして使うのがいいかな?(かなりもったいないけど)。 |
ワックスとは?という素朴な疑問から始まり、ノーグリセリンの石鹸とは?という疑問で終わりました今月のトピック。疑問ばかりで解決が浅く、やや不満足だったらごめんなさい~。1ヵ月後にできあがるワックスブラザーズの使用感は来月のお楽しみとさせて頂きます。
<後書き> まずはクレジットから:
まずは何といってもまりりん博士。今月のトピックで大切な情報は全てまりりんに教わえてもらったり確認を取ったりしました。
ちなみにもし間違った情報があれば、それは私のミスでございます。
次にみつろう100%を作ってくれたにうにうさん。その努力と勇気に拍手!
最後に、まりりんさんに頂いた本「化粧品用油脂の化学」広田宏著 フレグランスジャーナル社も参考にしました。
*広田の「広」は本当は15画の難しい漢字です。ごめんなさい。