Search This Blog(ブログ内検索)

Friday, April 30, 2010

読書日記 2010年4月

「老人と海」 ヘミングウェイ(新潮文庫)
随分と昔に読んだときは一気にページが進み、読み終えた後どどっと疲れました。今回はだらだらと読みましたが、読み終えてやっぱり疲れました。紙を上で文字を追うだけでも漁に出るって大変です(笑)
不漁続き老猟師がひとり海に出て、数々の困難を乗り越えながら大物を捕まえるも、とらえた獲物をサメに食べられてしまうというお話。自然のイメージが「癒し」とか「優しさ」というキーワードで表現される昨今、自己の傷をもろともせず魚と戦う老人の姿や、報いを与えることなく攻めてくる自然の厳しさは、すごく新鮮。ヘミングウェイは本来の自然の姿を生々しく表現しているように思います。
せっかく捕まえた大物をサメに食べられてしまった老人ですが、港に戻ったとき、魚の残骸(骨)だけは残っていました。村のみんなはそれを見て、魚の大きさにびっくりします。それまで不漁続きの老人を哀れに思っていた村人たちも、何日も海から戻らず、獲物を捕らえるためにひとりで戦った老人のすごさを再認識するのです。老人はそんなことも知らずベッドで眠っているのですが、なんと「ライオンの夢を見て」いるのです!そこでTHE END。一体、どれだけ雄々しいんでしょう!


"Making Cream Soap" by Catherine Failor (Milky Way Molds Inc.) 2001
キャサリン・フェイラー著のクリームソープの本。これも何年も前に購入して読んで、その後ときどき取り出しては読んで、今回もまた読んでみました。でもいつ読んでも頭の中に入らないんです。読みながら「なぜ?」という疑問が生まれ、その答えが自分で導き出せないせいだと思います。2001年の出版でかなり前の本なので、今は発展した作り方がどんどん出てきています(いずれご紹介しますね)。
ひとつ、この本でおもしろいのは、最後のページに本の内容とは特に関係ないイラストが掲載されているんです。これが1754年に刊行された「日本山海名物図会」第三巻の「樟脳製法」。江戸初期の精油を蒸留している様子が描かれています。フェイラーによると「1700年代初期の原始的な蒸留法」とのことですが、私には江戸時代の洗練された職人業に見えます!
「日本山海名物図会」はオンラインでも見れます。とってもおもしろいので見てみてください。って違う本の紹介になってしまいましたね。