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Thursday, April 01, 2010

読書日記 2010年3月

「信仰の現場」 ナンシー関 (角川文庫)

「何かを盲目的に信じている人にはスキがある。」と始まるこの本。日常生活では自己抑制をしてスキを見せないようにしているものの、同じスキを持つ仲間が集まるとつい無防備になってしまう、とのこと。永ちゃんライブ、ウィーン少年合唱団、ドリームジャンボ宝くじ、毒蝮ラジオ公開放送などなど、無防備になったマニアたちの集まる世界に潜入し「日常生活とは別のパラダイム」をレポートしています。
ナンシー関独特の視点や表現がおもしろかったのはもちろん、マニア同士が集まったときの独特の世界感というのは石けん作りにもあてはまりそうだなーと思いました。あとがき部分で著者は「閉じた小世界の異常な常識」を住人は異常と認識していない、と書いています。手作り石けんという世界の常識が「異常」とまでは思わないけれど(と言ってる時点でスキだらけだったりして?!)、一般の常識とは少し違うことは確かなんじゃないでしょうか。だって、石けんという物にここまで愛情なり執着なりを抱いているなんて、やっぱり世間一般の常識からすると普通ではないですよね(笑)。しかし小世界の常識が、異常とまでは言わずとも、異質であることはそんなに悪いことでもないでしょう。例えば物作りに対するこだわりという点ではいいものだと思うし。でも反面、視野が狭くなりすぎて「石けんって何だっけ?」というシンプルな疑問にすら答えられなくなってしまう危険もありますね。おもしろい読み物だけど、妙に考えさせられる部分もありました。


読みかけの本2冊は翌月へ。