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Thursday, January 25, 2007

Lecture on bilingual education

先日、「バイリンガル教育の基礎」というレクチャーに行ってきました。講師は国連国際学校(UNIS)の津田和男先生。この道ではとても有名な方だそうです。アメリカ在住の日本人の親が抱える一番の関心事は、子供の日本語をどう維持するかということですが、この点に関して津田先生は言いました。子供の言葉に「維持」はない。発達するか忘れるかどちらかだと。言われてみれば確かにそうです。子供は言語発達の途中段階にあるわけですから、それを維持っていうのはおかしいですね。使っていけばどんどん発達するし、使わなければどんどん忘れてしまう。

私はこれまでバイリンガルというものにまったく興味が持てず、コドモは日本語さえできればいいや、くらいに思っていました。しかし、アメリカに暮らす以上、そうも言っていられません。家の中では完全に日本語。外は英語の社会。家ではおしゃべりが大好きなコドモも、外では静かです。英語で話しかけられても何も言わないコドモに対して、「君は機嫌が悪いの?」「私は何も悪いことしてないわよ。」などと続けるアメリカ人。いえいえ、人見知りもありますがこの子はまだ日本語しか話さないんです、と言ってみるものの、英語でも日本語と同じくらい楽しくおしゃべりができたらいいだろうなあと思ってしまいます。英語にもっと触れさせた方がいいのだろうか、と悩んでいたときに、タイミングよくこのレクチャーがありました。

レクチャ−では、私の予想に反して、まずは日本語をしっかり身につけさせることを強調していました。とにかく言語の土台というものを日本語で作ること。その上で英語を身につけさせた方がよいということでした。外からのプレッシャーでつい家でも英語環境にしてしまうことがあるそうですが、そうすると日本語が犠牲になってしまうとのこと。実際、幼児期にアメリカで育った子より、小学校中学年くらいで日本からアメリカに来た子供の方がバイリンガルになる確率が高いという統計があるそうです。(これはあくまでも海外での日本語と英語のバイリンガルのはなし。日本在住のバイリンガルは、また状況が違うのだと思います。)

レクチャーを聞いて英語に関しては一安心。だけど新たな疑問が出てきました。それはしっかり日本語を身につけさせるとなると、今度は果たして家の中の日本語だけで足りるのか?という問題です。津田先生によると、海外在住の日本人生徒の日本語は、日本に住む生徒より4年くらい遅くれているとか。この4年というのは生活レベルの言葉ではなく、学習レベルの言葉ということだと思いますが。それにしても去年の秋に日本に一月滞在しただけで、コドモの日本語はびっくりするほど伸びていましたから、日本に住んでいたらかなり違っていたのかもしれませんね。しかし、あれこれ焦っても仕方がありません。今はたくさん絵本を読んだり、歌をうたったりして、言葉を使う楽しさをたっぷりと感じてもらうのがいちばんですよね。

・・・と普段とはかなり違うタイプの話しをしてしまいました。実際にはバイリンガルと言っても、家庭内が完全な日本語のケース、国際結婚で家庭内の言語がふたつ以上あるケース、また永住か帰国かなどなど、細かいバリエーションがありますから、一概に何がいいとは言えないかもしれませんね。石けんを作っている人で興味のある方がいるかわかりませんが、念のため、レクチャーでおすすめしていた本のタイトルをここに記しておきます:「バイリンガル教育の方法」中島和子(アルク)